実家にあったクジャクサボテン

私の実家は,数年前に自然災害に被災して1階部分が損壊し,住むことができなくなり解体すした。

親ももう亡くなってしまい,建物もないので,実家に帰る理由がなさそうだが,土地はまだ残っていて離れの建物があるので時々帰る。母屋の2階にあって無事だった物,たとえば本やレコードやCDなどは離れに避難させ,じわじわと片付けている。姉もいるのだが,普段は遠方で仕事をしているし私以上に片付けができない。

被災した時,家屋の外にあったものは全て流されてしまった。

私と母が可愛がっていたメダカの水蓮鉢もシクラメンやサボテンの植木鉢も,何もかも流されてしまった。

メダカは,とても可愛かったし,水蓮鉢の中に生態系を作ったところだったのと,何より生きて泳いでいた命が消えてしまったことがたまらなく辛かった。

サボテンは花のさく種類がたくさんあって,クジャクサボテンやシャコバサボテンの赤い花はとても綺麗で目を癒してくれた。

母がまだ入院している時にクジャクサボテンがとても見事な大きな花を咲かせたので,写真を撮って病室で見せた。母は「こんなに綺麗に咲いたんだ。」と少し笑ったようだった。

サボテンがなくなりがっかりしていたのだが,先日叔母(母の妹)が「綺麗な花が咲いたから見て」と写真をLINEで送ってくれた。「うちにもこれと同じ花があって綺麗だったんだけど」と返信すると,「これは姉(母のこと)がくれたの。入院するだいぶん前に会った時に株分けしてもらった花が今年やっとさいたの。」と言う。元は一つの花だったのだ。

「まさか,何もかも一瞬で無くなってしまうとは思わなかったから。また見られて嬉しい。」と返信した。

叔母は「いつかこの花を株分けして里帰りさせよう。」と言っていた。なんだか,普通の日常のようだった。天災や親の死や実家喪失やなんだかんだあったのに。

サボテンの色は大好きだ。

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