「カールじいさんの空飛ぶ家」の思い出

アメリカの俳優で声優のエド・アズナーが亡くなったというニュースがあった。

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-58380089

「カールじいさんの空飛ぶ家」のサイトは ↓

https://www.disney.co.jp/studio/animation/1015.html

91歳だったそうだから,私の好きなアニメーション映画「カールじいさんの空飛ぶ家」に出演した時には80歳前後だったのだ。あの映画は,普段あまりピクサーのアニメを見ない私が,ティザーを見たらなんだかすごく興味が湧いて,リアルタイムで見ることにしたピクサーアニメーション。

ところが,オープニング数分でカールじいさん夫妻が子供を失うシーンを見て,涙が溢れて止まらなくなって,慌てて席を立ちトイレに駆け込んで,声を上げないようにして泣いた。でも泣きすぎて息が切れそうになった。自分自身が子供を失って数年しかたっていなかったから,その日のことがフラッシュバックしてしまったのだ。

その時は一人で見に行ったので,夫はいなかった。後で「あのアニメ映画どうだった?」と尋ねられても「ちょっと,始めのところで泣き出してしまって,結局見られないまま帰ってきた。」と答えるしかなく,夫は変な顔をしていた。

しばらくして(1年ぐらい?)テレビで「カールじいさんの空飛ぶ家」が放送された。夜ということもあり夫も在宅だったので,二人で一緒に見ることにした。

子どもが亡くなって,カールじいさんはなんとかして奥さんを励まそう元気づけようとするのだけれど,二人ともだんだん歳をとっていって,奥さんは年齢的に一緒にハイキングに行くは体力が衰えていたし,歳をとって二人きり(カールじいさんは結構コミュ障)の生活の中で失った子どものことも思い出して切なかったろうしで,元気がない。

そして奥さんがカールじいさんより先に亡くなってしまって,ひとりぼっちになったカールじいさんは偏屈になった。

夫と一緒に見ていたので,子どもが亡くなるシーンで泣きそうになったが,グッと我慢した。私はどうしても誰かに泣くところを見られるのが苦手だ。

そして,奥さんが先に亡くなるシーンでも「この奥さんは,ちょっとASDっぽい旦那さんのカールがひとりぼっちになってしまうことが,きっと心配でたまらないんだろうな。」と思った。

私自身が夫より大分年上なので,私の家系の長寿で私が長生きすればほぼ一緒の頃かもしれないが,私がやっぱり年上分だけ先に旅立つかもしれない。でも夫だけ一人残して帰らない帰れないところへ行くことは,とても心配で気がかりなのだ。

幸せに生きて欲しいけど,夫のADHDっぷり(夫は私と違い診断を受けていないが)で大丈夫だろうか?それにすごく人を信じやすいナイーブな人なのだ。カールじいさんのように偏屈になるのも寂しいけれど,信じやすくて騙されやすいのは気がかりだ。今は父方のいとこ達に会うと夫の見守りを頼もうかどうかと考えてしまう。

カールじいさんは,あるアジア系の少年に出会って,夢のような冒険に出かける。それは奥さんと出会った頃の少年時代の彼の夢でもあったもの。奥さんとは廃屋の冒険で出会ったから,奥さんが生きていたら,一緒に行けたろう冒険。でも一人ぼっちではなくて,バディになってくれる少年がいる。

このあたりになると,かつて大泣きして全部見られなかったことは横に置いておいて,カールじいさん達と一緒にハラハラドキドキしてきた。

映画を見終わった時に,夫は「君が前に映画を見ようとした時,泣いてしまって見られなかった箇所,どこか分かったよ。」と言ったが,それ以上は何も言わず「でも最後まで見られたね。良かったね。」と喜んでくれた。私も,夫がどの場面のことを言っているのか分かっていたと思う。

子どものことを思うたび,自分を責めて周りを責めて毎日泣き叫んでいた時期がある。夫にとっても辛い時期だったと思う。夫はなんとか私を慰め前向きにしようとするのだが,それが帰って私にはしんどくて「そうじゃない。そうじゃないんだよ。」と泣くばかりだった頃。

あれから,よくあることかもしれないが,苦しいことや難しいことを夫婦で乗り越えて,なんとか今に至るのだが,適応障害のせいなのかなんなのか,ここ数年は泣くことも笑うこともあまりできない。涙は全然出てこない。実家が被災した時も母が亡くなった時も,多分悲しさ辛さはあったのに,まるで他人事のようで自分ではない誰かに起こっていることのようで,自分はどこか遠くにポツンといるようだった。

また「カールじいさんの空飛ぶ家」を見たら,泣くことができるのかな? 感情が動くのかな? 

最近は「泣きたいだけ泣きたいのに涙が出ないし感情が自分を置き去りにする。」というのが課題。色々な感覚が自分を置き去りにしていることも課題。

でもあの時,夫と一緒に映画を見直すことができて良かった。

from Disney Pixar’s Up Official Trailer

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