カサンドラ症候群にならないように,と思うのだが。

カサンドラ症候群になってはいけない,頑張らない,と思いつつの姉との攻防。

姉は善人なのである。嘘もつけない人だ。ただ空気は全く読めない。

姉からは時々LINEや電話がくる。くるときは休みなくひっきりなしにくる。

姉が現在療養生活をしている実家付近は,春の終わりから夏にかけては雷がよく発生するのだが,周辺に落雷があって停電したためテレビを見られない,何をしていいのかわからないからもう寝る(夕方6時ぐらいに)等々のLINEが何度も入る。

それって,私に言ってどうするというかどうにかなることなのか? 私には雷を止める超能力なんかない。それと夕方6時に寝てしまったら夜中に目が覚めてしまうだろう。「眠れない」と深夜に電話をかけてこられるのは私の心身には負担である。「今寝るなら夜中に電話して来ないで」とは伝えるようにしているが。

「雷で停電だから寝る」と言ったその2日後に,姉は泣きじゃくりながら電話してきた。

内容は支離滅裂。でも所々理解できたので「〇〇ということか?」「〇〇と言いたいのか?」と確認しながらまとめてみた。

姉:職場に復帰してからも,以前通っていた病院ではなく最近通い始めた心療内科に紹介してもらって別の心療内科に行こうと思う。 

私:いやいや何回も同じ話をしているよね。今までもセカンドオピニオンをもらいに言った病院や緊急搬送された病院で「必要ない薬が大量に処方されている」と指摘されてきたよね。私や叔父さんとも話し合って「もうあの病院(職場近くで通っていた所)には行かないって約束したよね。なのにいつだって療養期間が明けて職場に戻るとあの病院に行っちゃう。意思表明じゃなくて本気でやってください。

姉:でも,やっぱり,あの病院は大学時代にかかっていた病院の信頼していたお医者さんの紹介だから,あそこ以外に行くのって抵抗がある。

私:今さっき新しく心療内科を紹介してもらって行くと言ったばかりなのに,いったい何を言っている? 大体,そんな何十年も前の医者のどこが良くてそんなに信頼している?

姉:学生時代や助手時代に通っていた病院の先生は「お薬ください」と言えば,何がどのくらい欲しいか聞いてたくさんくれた。だから好き。その先生の紹介だったから職場近くにある病院にもすぐに馴染めた。信頼している先生に紹介してもらった所以外に行くのはすごく抵抗がある。行ったことがない所や慣れない所は嫌い。

私:なんだって初めての時ってあるんだよ。初めて行く病院はその前に行ったことがないに決まってるじゃない。薬を患者に言われるまま患者の欲しいままどんどん出してくる医者なんかヤブじゃないの。

姉:だって違う病院に行くと薬(睡眠薬,精神安定剤,抗鬱剤,その他数種類の向精神薬等)が多過ぎると言われたり,手足が痙攣すると言っても何ともないと言われたりする。こちらの言う通りにしてくれない。

私:何でもハイハイと患者の言う通りにするのはもう医者じゃない。

姉:(泣き出す)大学生の時はまだ友達がいた(今は「友人がいない」といつも言う)大学で友達と会ったり話したりした時には両親から離れて自由になったと思った。仕事で外国に行っていた時も親が遠くにいて自由だった。

私:どうして今は友達がいないのかな?

ここからは姉は泣きじゃくってまともに話せない状態になった。「どうして友達がいないのか」という問いは彼女にはきつかったと思う。

その後,姉は私がすすめて通い始めていた心療内科の予約を何度かキャンセルした。電話をかけてきては,呂律が回らないのに盛んに体調が悪くてかわいそうな自分の話をしていた。私自身が体調も精神状態も悪くて動けないでいることが理解できていなかったのかもしれない。

さらに数日後の朝まだ早いうちに,実家のある町の病院から電話がきた。姉が救急車で搬送されたとのことだった。自分で119番に電話したということだった。電話してきたのは病院の看護師で,

「点滴をしています。もうすぐ終わります。本人はまだ体も頭もグラグラするからもう少し病院にいさせて欲しい,できれば入院させて欲しいと話しているのですが,ちょっと脱水気味でしたがどこも悪くないですし,いざ本当に入院が必要な方のためにベッドは確保しておかなければいけないのでお迎えをお願いできますか?」とのこと。

「姉は携帯を持っていますか?」と尋ねると「持っているそうです」との返事だったので,一度切って姉にかけてみると呂律は回らないが話はできる。一人でいるのが寂しいから病院なら構ってくれるはず,というほど極端ではないが構って欲しいから構ってもらっているだけ,と言う様子。

体は大丈夫と判断し「タクシーをお願いして自分で帰ってきなさい。」と姉に伝えた。再度病院に電話をかけて「申し訳ありません。私はそちらから車で何時間もかかる場所に住んでいまして,今自分が体調が悪くて休養しています。姉は自分でタクシーを呼んで帰れる状態なので帰るように言ってください。」と看護師に頼んだ。

実家に着いたと思われる時間に姉に電話して様子を聞いた。「ちょっと待って,何を言っているのかわからない。」と何度も言う。わからないと言うよりは,聞いていない。

姉も私も朝早くから人とのやりとりをしていたので「今は寝なさい」と姉に言って電話を切った。夕方電話しなおしたら姉はちゃんと眠れたそうだった。

でも私は眠れなかったのだ。早くから起こされて看護師や姉の話を聞いて,困っている看護師に姉をどう説得するかコツを伝えて,救急車が来たことでびっくりしたであろう実家の隣近所にお詫びの電話をしていたのだ。

私も「だめだこれでは振り回されてしまう」と思うのだが,姉に振り回されるご近所や(本当に心配して私にも「お姉さん大丈夫だった?」と電話してくれた)病床が不足している田舎の病院の看護師さんに申し訳なくて,せめてそちらへのお詫びはしておかなければいけない,とか,とりあえず自分が眠るのは後にしよう,とか考えてしまったのだ。

姉は性格は普通に善人で頭は非常に良い人なので,私が彼女のことで苦労するなんて,多分誰にも想像はできないだろう。

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