ASDがあることはわかっているのだが,本人が頑として認めない,そして周り特に身内を振り回す私の姉。両親もなくなった今,彼女の身内といえば私である。
数日前,夫がアラブ料理の定番の一つファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)を作ってくれた。しかし,今の私は2日に一度レトルトのカレーを温めもせずに袋から食べているか,プレーンヨーグルト1パックを食べるか,丼山盛りの茹でたてスパゲッティにオリーブオイルをからめたものを食べるような状態で,食べたい気持ちはあるのだが,どうしても食べられなかった。
夫は「じゃあ,冷凍しておくね。後でフライしてあげるから食べようね。」とその日はそこまでだった。
その次の日「ついでだから週末にお姉さんの所へお見舞いに行こう。保冷バッグで冷凍したファラフェルを持っていくから,そこで揚げたてのファラフェルをみんなで食べよう。」とナイスアイディア!みたいな感じで夫は言ってきた。それもいいかもしれないね,と同意して「じゃあ週末行こう。」と私も応えた。
でも,天気が悪すぎた。今日家の周りも実家付近も大雨で強風である。こんな日に高速道路を運転していく気にはならない。よく使う高速道路の状態はよく知っているが,何箇所かは周りに山も何もなく,橋のようになっている吹きさらしの強風に煽られやすい道,夫に運転させるのも心配だった。
夫は朝早くから「さあ出かけるぞ」と身構えていたが,私は夫を説得して(天気と道路状況など色々説明して)今日は行かないことにした。
姉にその旨を電話すると「お前は来なくていいけど,ファラフェルは食べたかった。」と言われた。
お前は来なくていい。お前には会わなくていい。でもお前の旦那は来てもいいよ。料理がうまいし,話し方が優しいから。お前はきついからいや。姉の言い分はだいたいそんな内容。
それだけで電話は終わるはずだったのだが,その後姉はいかに私が彼女に対して優しくないかを延々と語り始めた。「ワタシはぁ,子どもの頃にちゃんと子どもとして接してもらっていないから,子どものように接してくれないとダメ。」などと最近仕入れた知識を振りかざしてくる。
「子ども時代がなかった」というのは,姉だけでなく私も同じだ。夫も同じだ。
姉と夫は自己肯定感がとても低い。夫にはなんとか場を明るくしようという私の意図を汲んでくれる面があるのだが,姉にはそれが全然ない。
姉とのコミュニケーションは難しい。というか成立しない。一方通行で姉からだけ情報が発せられる。そのくせ彼女は「ワタシはぁ弱いからぁ,お前は強いからぁ一方的にワタシをぉ傷つけるからぁ怖い。」と言う。「こんなに小さな子どもみたいな自分をいじめないで」とでも言うように。
誰にも言えることではない。姉は旧帝大で博士号を取った秀才だ。私が何を言っても信じてはもらえない「まさかねぇ」でおしまいだろう。
姉と話していると苦しくてしょうがない。一方的に「お前が悪い」「お前がいじめる」「お前が怖い」「お前ばかり周りに愛される(愛されているわけではないと思う)」と言われ続ける。それから姉の好きなジャニーズの話とか母のつまらない内容の蔵書の話とかを,延々と続けられる。
本当は相手をしてはいけないのだ。まともに相手をしたら私が姉に潰されてしまう。姉の必要なものが何なのか,何とか欲しいものや必要なものや状態を揃えてやろうと思っても,決してその私の行為が評価されることはない。何をしてもスルーだ。
まるで靴屋のシューフィッターさんのようだ。「お客様,こちらはいかがですか?」「お気に召しませんか?」「ではこちらはいかがですか? これもダメですか?」「では・・・・」そんなことの繰り返しだ。私が跪いている靴屋さんで姉がお客様だ。相手は遠くを見て勝手なことを言うばかり。
姉がASDなのは既に診断されていることだが,姉は私の前で怒って泣き喚いていた。今は少し落ち着いているがまだ認めてはいない。ACであることは本人も知っている。ACであるのは私も同じなのに,それは認めない。「可哀想なワタシ」「ワタシを傷つける存在のお前」そう決め付けている。ACである原因は親なのだ。それについては,長いので後に書こうと思う。
ただ今日は辛い。叫びたいくらいイライラしている。姉と話すたびにどんよりと曇った気持ちになる。ただの連絡で済むはずだった電話でこんなに苦しい思いをさせられるなんてあんまりだと思う。
夫は私が姉のためにどれだけ苦しいか知らない。彼にとって姉というのは尊敬すべき存在なので(彼のお姉さんが良い人なので),気付かない。私の姉も善人ではある。だが本当に善人かな?と今日は感じてしまった。良い人ではある。でも善人かな?