このタイトルが出てきたのは,姉から電話があったからである。
姉が言うには「外出から戻ったら家の鍵が開かない。どうすれば開くのか?」
普通は鍵で開けるものである。
「鍵をさして回す」と答えたら「それはやった。それでも開かない。もう10分もやっているのに開かない。」
それを私にどうしろと言うのか?
何時間もかけて姉のいる所まで出向いてドアの鍵を開けろと言うのか。
「いいか,心を無にしろ。」と私は言った。「そして一度鍵を抜いて,ゆっくり挿してゆっくり回す。慌てるな。」
「そんな精神論を聞いているんじゃない。」と姉は半泣きであった。
「いや,精神論じゃなくて,慌てるなと言うことだ。慌ててガチャガチャ乱暴にしたら鍵穴の中が傷ついて本当に開かなくなるかもしれない。」と私。
「もう中が傷ついてるんだ。どうして傷つくの。もう開かなくなったんだ。」と姉。
「いやだから開かないとは言っていない。でもそれ以上傷つけたらダメでしょう。」と私。
「深呼吸して心を沈めて,絶対にガチャガチャしないでゆっくり鍵を回そう。じゃあ。」と言って返事を待たずにこちらから電話を切った。
30分ほどしてから「どうだ?」とLINEを送ったところ「開いた」と返信があった。
子どもの頃から,姉とのやりとりはこんな感じ。話が通じている気がしない。相手にすると自分が辛くなる。しかし子どもの頃から最強にお勉強ができた姉なので,いくら私が姉との関係で苦労すると言っても誰にも通じない。
適当なところで切り上げるしかないのかもしれない。