夫はずっと,私の実家の敷地の草刈りもするのだと言っていた。
私がかつて住んでいた実家の建物は台風に被災して壊れてしまったのだが,敷地はあるし,同じ敷地内に姉が離れを建て、今は彼女が療養のためにそこにいる。
離れは,元々は実家で溢れかえっていた本の(1万冊ぐらいあったので大分処分もした)書庫として姉が作るはずだったのだが、今は亡くなった母が建築に口を挟んできて,反論するのが苦手な姉が言い負かされてしまった。姉はお金を出したのに,自分の希望がまるで反映されない建物ができてそれを受け入れるしかなかった。今もそれは彼女のトラウマになっている。
私にとっても自分の本があるから,母が勝手に設計士さんに出した要望の建物が,紙でできた本を保管するために適さない構造だということは,腹立たしいことではある。母は何に関してもそういうところがあって事態を厄介にすることが多い人だった。
それはさておき,敷地の雑草は夏の暑さの中元気よく大きくなってしまっている。道路から見ると,離れの建物が見えないので廃墟のようだ。
仕事柄草刈りにうるさい夫は,その雑草の林が気になって気になって仕方がなかったのだ。
以前は叔父の家からガソリン式の草刈り機を借りて来たり,草刈り機を持っている親戚に頼んで刈ってもらったりしたのだが,いつもそれでは申し訳なかったので,姉が「うちも草刈り機買おうか。」とボソッと呟いた。夫は「草刈り機買うの?」とルンルンしていた。姉は草刈り機のことは何も知らないので,夫と私が話し合ってマキタの充電式草刈り機はどうだろうかと提案した。
https://www.makita.co.jp/product/li_ion/mur190udrg_mur191udrg/mur190udrg_mur191udrg.html
フル充電で稼働する時間の長さと,回転部分の刃,動きの強さ等を考えて,18VのU字ハンドルにした。
14Vだと少し弱いとか,組み立て式はうまくはめるのに力がいるとか聞いていたので,稼働時間の違いも含めて18Vが良いのではないか,と姉にも説明した。
実家の近所の皆さんはガソリン式草刈り機が普通なのだが(叔父や従兄弟の草刈り機もガソリン式),ガソリン式にしなかったのは姉と私の性格を考えると,安全にガソリンを保管するということに少し不安があったから。それに姉は車の運転ができないので,ガソリンを買いに行くこともできない。その上ヘビースモーカーである。引火したら怖い。また,私は以前キャンプ用のガソリンを使うストーブを持っていて,ガソリンの保管が面倒だったという経験がある。そういういくつもの理由があって,充電式の草刈り機にしようとなった。
夫は「マキタ」と聞いてとても喜んだ。仕事でマキタの工具を使うことも多く,使い方も知っているし製品として信頼もしているから。「マキタ?良かったそれは良かった。」と嬉しそうだった。
昨日,夫は私と姉のために昼食の準備をし,皆で美味しく食べてから一休み(その間私は皿洗いと油の処理,姉は昼寝)。その後私は姉に頼まれて買い出しに行き,夫は離れの建物周りの草刈りをしてくれた。
かつて母屋があった部分は雑草の高さが1メートル以上(だから道路から離れが見えない)で面積も広いので「これは今日は無理だね。後で連休の時にやった方がいいね。来月かな?」と夫は言っていた。草刈り機を使いたいのでワクワクしている様子が見られた。
秋になってさらに冬に近づいたら,雑草は枯れるんだろうな,なんて考えてしまったが,夫が嬉しそうなので9月に彼が2日続きの休みが取れたら「その時は草刈りをお願いします。」と言っておいた。
ワクワク感が持てる草刈り機というのがあることが分かったのだった。